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派遣社員の同一労働同一賃金、2つの待遇決定方式と令和8年度の一般賃金

派遣社員の待遇は、派遣元が「派遣先均等・均衡方式」と「労使協定方式」のどちらかで決めることが労働者派遣法で義務付けられています。待遇を決めるのは派遣元ですが、派遣先にも情報提供や派遣料金への配慮が求められるため、受け入れる企業も仕組みを知っておく必要があります。この記事では2つの方式と、2026年4月から適用されている令和8年度の一般賃金を整理します。

派遣先均等・均衡方式

労働者派遣法第30条の3は、派遣元に対し、派遣社員の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、派遣先に雇用される通常の労働者の待遇との間に不合理な相違を設けてはならないと定めています(均衡待遇)。職務の内容と、職務の内容や配置の変更の範囲が派遣先の通常の労働者と同一の派遣社員については、正当な理由なく不利な待遇にしてはなりません(均等待遇)。

この方式では、派遣先が比較対象となる労働者の待遇情報を派遣元に提供する必要があります。第26条第7項により、派遣先は労働者派遣契約を結ぶ前に、派遣社員が従事する業務ごとに比較対象労働者の賃金その他の待遇に関する情報を提供しなければならず、提供がない場合、派遣元はその業務に係る契約を結ぶことができません(同条第9項)。情報に変更があったときも遅滞なく提供します(同条第10項)。

労使協定方式

第30条の4は、派遣元が労働者の過半数で組織する労働組合、または過半数代表者との書面による協定で一定の事項を定めた場合、その協定に基づいて待遇を決めることを認めています。協定で定める賃金の決定方法は、派遣社員が従事する業務と同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金(一般賃金)と同等以上であること、職務の内容や成果、能力、経験などの向上があった場合に賃金が改善されることの両方を満たす必要があります。

ただし、派遣先が自社の労働者に実施する業務に必要な教育訓練(第40条第2項)と、派遣先の労働者が利用する福利厚生施設の利用機会(同条第3項)は、労使協定方式でも派遣先の義務として残ります。厚生労働省の労使協定方式のページでは、一般賃金の額は職業安定局長の通達で示されると説明されています。

令和8年度の一般賃金の計算式

2026年4月1日から2027年3月31日までに適用される一般賃金は、2025年8月25日付の職業安定局長通達(職発0825第1号)で示されています。基本給・賞与・手当等にあたる「一般基本給・賞与等」は、次の式で計算します。

職種別の基準値 × 能力・経験調整指数 × 地域指数

  • 職種別の基準値は、賃金構造基本統計調査(別添1)または職業安定業務統計(別添2)のどちらかから、職種に対応する時給換算の額を使います。令和8年度の産業計・職業計の基準値(0年)は、別添1が1,442円、別添2が1,289円です。
  • 能力・経験調整指数は、0年を100.0として、1年113.8、2年121.8、3年124.8、5年133.6、10年142.7、20年177.4です。
  • 地域指数は派遣就業の場所で決まります(別添3)。全国計を100.0として、神奈川県は110.1、ハローワーク川崎の管轄は110.7、川崎北は109.9です。

計算結果に1円未満の端数が出た場合は切り上げます。基準値(0年)が地域別最低賃金や特定最低賃金を下回る場合は、最低賃金の額を基準値として指数を掛けます。

項目令和8年度の取扱い
通勤手当実費相当額を支給して一般の通勤手当と同等以上とする(支給に上限があり時給換算で79円を下回る場合は79円以上にする)か、時給換算で79円以上を支給する
退職金別添4の退職手当制度と比較する、一般基本給・賞与等の5%を上乗せする、中小企業退職金共済制度等に加入して5%相当を拠出する、のいずれか

通達では、令和8年度の一般賃金水準は産業計・職業計で上昇し、上昇する職種の数も増えたと述べられています。一般賃金が下がった場合でも、見直し前の協定額を基礎に労使で協議することが望まれ、賃金を引き下げる目的で統計を使い分けることは認められません。

なお、令和9年度(2027年4月1日から2028年3月31日まで)の一般賃金を示す通達(職発0828第5号、2026年8月28日付)もすでに公表されており、通勤手当の時給換算額は67円に変わります。来年度の協定の見直しは、この通達が基準になります。

派遣先企業が関わる場面

方式がどちらであっても、派遣先は契約前に第26条第7項の情報提供を行い、派遣元が法や協定を守れるよう派遣料金の額に配慮する義務があります(同条第11項)。派遣元の求めに応じて、派遣先の労働者に関する情報や派遣社員の業務の遂行状況を提供するよう配慮することも求められています(第40条第5項)。

当社は派遣元として待遇決定方式を定め、法と通達にそって派遣する外国人の方の賃金を決める立場にあります。派遣先企業さまには、契約前の情報提供にご協力をお願いしています。待遇のルールについて確認したいことがあれば、お電話(090 7841 8887)、メール(info@sinceroglobal.jp)、LINEでお気軽にどうぞ。