制度・法令
外国人を雇うときの労働条件通知書:2024年4月に加わった明示事項と8言語のモデル様式
日本で人を雇うときは、国籍に関係なく、主な労働条件を最初に書面で示す必要があります。2024年4月からは、将来の就業場所や業務の「変更の範囲」も示すことになり、有期契約では更新の上限があるかどうかも明示事項になりました。厚生労働省は、外国人労働者向けのモデル労働条件通知書を8言語で公開しており、英語版にはこれらの記入欄がすでにあります。
法律が求めていること
労働基準法第15条は、労働契約を結ぶときに、賃金、労働時間その他の労働条件を明示するよう使用者に求めています。労働基準法施行規則第5条は、明示する事項と、そのうち書面で示すべき事項を定めています。書面が必要なのは、契約期間、有期契約を更新する場合の基準、就業の場所と従事する業務、始業と終業の時刻や休憩、休日、休暇、賃金の決定・計算・支払の方法、そして解雇の事由を含む退職に関する事項です。
原則は書面の交付です。労働者本人が希望した場合に限り、ファクシミリや電子メールなどで送ることもできます。電子メールの場合は、本人が印刷して書面にできるものに限られます。同じ条文は、事実と異なる労働条件を示すことも禁じています。
2024年4月に加わった四つの事項
厚生労働省のリーフレットは、2024年4月1日から追加された明示事項を次のように整理しています。
- すべての労働契約で、締結時と有期契約の更新時に:就業場所と業務の変更の範囲。雇い入れ直後の場所と仕事だけでなく、将来の配置転換などで変わり得る範囲を示します。
- 有期契約の締結時と更新時に:更新上限(通算契約期間または更新回数の上限)の有無と内容。最初の契約の後に上限を新しく設けたり短くしたりする場合は、その理由を事前に本人へ説明する必要があります。
- 無期転換申込権が発生する更新のたびに:無期転換を申し込めること。同じ使用者との有期契約が通算5年を超えると、本人の申込みにより期間の定めのない契約に転換される制度です。
- 同じタイミングで:無期転換後の労働条件。あわせて、条件を決める際に正社員などとのバランスをどう考えたか(業務の内容、責任の程度、異動の有無や範囲など)を説明するよう努める必要があります。
同省の制度改正のページには、リーフレットのほか、Q&Aや新しいモデル労働条件通知書がまとめられています。
外国人を雇うときに特に大切な理由
業務の変更の範囲は、在留資格と雇用契約が重なる部分です。就労系の在留資格を持つ人は、その資格で認められた仕事しかできません。通知書に「会社の定める業務」とだけ書いてあると、のちの配置転換が在留資格の範囲を外れたときに、本人と会社の両方が困ります。現実的な業務の範囲を書き、その一つひとつが在留資格に合っているかを確かめておくことが、双方を守ります。確認の考え方は「技術・人文知識・国際業務」で認められる仕事の記事にまとめています。
更新に関する事項も大切です。契約期間、更新の基準、上限の有無を本人が知っていれば、在留期間の更新の予定も立てやすくなります。
労働基準法は労働者の側の救済も定めています。第15条により、明示された労働条件が事実と違っていた場合、労働者は即時に契約を解除できます。就業のために住居を変えた人が解除の日から14日以内に帰郷する場合は、必要な旅費を使用者が負担します。
8言語のモデル労働条件通知書
厚生労働省は、外国人労働者向けのモデル労働条件通知書を、英語、中国語、韓国語、ポルトガル語、スペイン語、タガログ語、インドネシア語、ベトナム語で公開しています。愛知労働局のページに8言語の一覧があり、それぞれ同省の掲載ページにつながっています。2024年3月付の英語版は、英語の各項目の下に日本語が併記されているため、人事担当者と本人が同じ書類を読めます。変更の範囲と更新上限の記入欄もすでにあります。
国の「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」も、母国語ややさしい日本語など、本人が理解できる方法で説明するよう求めています。2026年の改正内容は指針の記事で紹介しています。
次の採用で確認したいこと
- 共有フォルダにある古いひな形ではなく、2024年以降のモデル様式を使う
- 就業場所と業務の変更の範囲を記入し、本人の在留資格と照らし合わせる
- 有期契約では更新の基準と上限を書き、無期転換申込権が発生する更新時期を管理する
- 日本語版と翻訳版をあわせて渡し、署名や受領の記録を残す
- 電子メールで送る場合は、本人が希望したことを記録しておく
神奈川県で働く人が労働条件について相談したいときは、神奈川労働局の外国人労働者相談コーナーが使えます。英語、ポルトガル語、スペイン語、ベトナム語、タガログ語、中国語の相談員が、曜日を決めて対応しています。