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職場で使う「やさしい日本語」。ガイドラインの3ステップと安全衛生の多言語教材

外国人スタッフに作業手順や安全の注意を伝えるとき、翻訳だけに頼ると、言語の数だけ資料が必要になります。そこで役立つのが「やさしい日本語」です。難しい言葉を言い換えるなど、相手に配慮したわかりやすい日本語のことで、国がガイドラインと教材を公開しています。この記事では、ガイドラインの基本ルール、職場での書き換え例、厚生労働省の多言語安全衛生教材をまとめます。

やさしい日本語とは

出入国在留管理庁と文化庁は、2020年8月に「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」を策定しました(文化庁の報道発表は2020年8月28日付)。ガイドラインの概要によると、日本に住む外国人はこの30年で約3倍に増え、国籍も多様化しています。調査では、日常生活に困らない言語として「日本語」を挙げた外国人は約63%、希望する情報発信言語として「やさしい日本語」を選んだ外国人は76%でした。多言語翻訳と並行して、やさしい日本語で伝えることが有効だというのがガイドラインの出発点です。対象は国や自治体の書き言葉ですが、考え方はそのまま職場の掲示や作業指示に使えます。

ガイドラインの3つのステップ

ガイドライン本編は、やさしい日本語を作る手順を3つのステップに分けています。

  • ステップ1:まず日本人にわかりやすい文章にする。伝えたいことを整理して情報を絞る。一文は短くし、一文に言いたいことは1つだけにする。3つ以上のことを言うときは箇条書きにする。外来語(カタカナ語)は、ほかに適切な日本語がない場合だけ使う。
  • ステップ2:外国人にもわかりやすい文章に直す。二重否定を使わない。受身形や使役表現をできる限り使わない。簡単な言葉を使い、漢語より和語を選び、抽象的な言葉や略語、ローマ字を避ける。漢字の量に注意し、ふりがなをつける。
  • ステップ3:できた文を日本語教師や外国人に読んでもらい、伝わるかどうか確認する。

本編の例では、「在留カード以外は必要ありません」が「在留カードを持ってきてください」に書き換えられています。別冊の書き換え例には、「残業」を「1日に8時間より長く働くこと。または、1週間に40時間より長く働くこと」と説明するなど、仕事に関わる用語の言い換えも載っています。

話し言葉については、その後「話し言葉のポイント」がまとめられました。伝えたい情報を整理する、相手の話をしっかり聴く、反応を見ながら話し方を調整する、短く切って文の最後まで言い切る、難しい言葉を言い換える(「納税」なら「税金を払う」)、資料や写真、実物を使う、という6つのポイントです。

職場での書き換え例

ガイドラインのルールを、製造や物流の現場でよく使う指示に当てはめた例です。右側の文は当社で作成したもので、ふりがなは省略しています。実際に掲示するときは漢字にふりがなをつけ、外国人スタッフに読んでもらって確認してください。

よくある書き方やさしい日本語
作業開始前に必ず保護具を着用のこと仕事の前に、ヘルメットと手袋をつけてください
許可なく機械に触れることを禁止するこの機械にさわらないでください。使うときは、リーダーに聞いてください
異常を発見した場合は速やかに上長へ報告することいつもと違うときは、すぐにリーダーに言ってください
立入禁止区域への進入は認められないここに入らないでください
体調不良の際は無理をせず申し出ること体の具合が悪いときは、休んでください。リーダーに言ってください
欠勤する場合は始業時刻までに連絡を要する休むときは、仕事が始まる時間までに電話してください

ポイントは、一文に一つのことだけを書くこと、「のこと」「要する」「認められない」のような書き言葉を「してください」「しないでください」に変えること、「保護具」「上長」のような言葉を具体的なものや人に置き換えることです。「ヘルメット」「リーダー」のような外来語は、ほかに適切な日本語がなく、現場で日常的に使われている場合に限って使います。

厚生労働省の多言語安全衛生教材

やさしい日本語だけでは伝えにくい安全衛生の専門的な内容については、厚生労働省が外国人労働者向けの多言語教材を無料で公開しています。外国人労働者の安全衛生対策のページに主な教材がまとまっています。

  • 未熟練労働者に対する安全衛生教育マニュアル:雇入れ時や作業内容変更時の教育に使う業種別マニュアルです。製造業は英語、中国語、ポルトガル語、スペイン語の4言語、産業廃棄物処理業と警備業は英語、ベトナム語、インドネシア語など13言語で公開されています。
  • マンガでわかる安全衛生教育教材:初めて安全衛生を学ぶ人向けで、共通教材のほか、介護、製造、外食、陸上貨物運送、フォークリフト、倉庫など業種・作業別の教材があります。日本語、英語、中国語、ベトナム語、インドネシア語、ネパール語など14言語(一部11言語)です。
  • 業種別の教材:建設業、農業、漁業、造船・舶用工業の映像とテキストで、日本語を含む11言語です。
  • 技能講習補助教材:フォークリフト、玉掛け、ガス溶接など9種類の技能講習向けに、日本語と外国語を併記した補助テキストなどを最大13言語で公開しています。登録教習機関のテキストと併用します。

同じページには、食料品製造業と金属製品製造業向けの、イラストと外国語を併記した危険有害要因の標識や、外国人労働者安全衛生管理の手引きも掲載されています。やさしい日本語の掲示とこれらの教材を組み合わせると、雇入れ時教育や朝礼での注意喚起が格段に伝わりやすくなります。受け入れ前の準備全般については、外国人材受け入れの準備に関する記事もご覧ください。

株式会社スィンセーログローバルのサポート

株式会社スィンセーログローバルは、川崎市を拠点に、外国人スタッフとその就業先の企業の双方を複数の言語でサポートしています。やさしい日本語での掲示や手順書の作り方、安全衛生教育の進め方など、電話、メール、LINEでお気軽にご相談ください。