採用・雇用
派遣の3年ルールと雇用安定措置、外国人派遣社員を受け入れる企業が押さえる点
派遣社員を受け入れている企業が必ず意識しておきたいのが、労働者派遣法の「3年ルール」です。2015年9月30日に施行された改正法で、すべての業務に2種類の期間制限が設けられました(厚生労働省「労働者派遣法の改正」)。外国人の派遣社員にも日本人と同じルールが適用されます。この記事では、条文にそって仕組みを整理し、外国人を受け入れる場合に加わる注意点をまとめます。
2つの期間制限
| 区分 | 内容 | 根拠条文 |
| 事業所単位の期間制限 | 同一の事業所で派遣を受け入れられる期間は原則3年まで。延長するには、抵触日の1か月前までに事業所の過半数労働組合等から意見を聴く必要があります(1回の延長は3年まで) | 労働者派遣法第40条の2 |
| 個人単位の期間制限 | 同一の派遣社員を、同一の事業所の同一の組織単位(課など)で受け入れられる期間は3年まで。事業所単位の期間を延長しても、この制限は延びません | 同法第40条の3 |
第40条の2第1項では、派遣元で無期雇用されている派遣社員、有期プロジェクト業務、日数限定業務、産前産後休業・育児休業・介護休業の代替業務などが期間制限の対象外とされています。厚生労働省の派遣先向けリーフレットでは、60歳以上の派遣社員も対象外として挙げられています。
「組織単位」については、派遣先が講ずべき措置に関する指針で、課やグループなど業務としての類似性や関連性がある組織で、その長が業務の配分や労務管理上の指揮監督権限を持つものと説明されています。同じ指針では、派遣の終了から次の派遣の開始までの空白が3か月を超えない場合は継続して受け入れているものとみなすこと、延長手続を避ける目的で3か月あけてから同じ受入れを再開する行為は法の趣旨に反することも示されています。
抵触日の通知と延長の手続
期間制限に抵触することになる最初の日が「抵触日」です。派遣先は、新たな労働者派遣契約を結ぶ前に、事業所単位の抵触日を派遣元に通知しなければなりません(第26条第4項)。通知がない場合、派遣元はその派遣先と契約を結ぶことができません(同条第5項)。派遣元は派遣社員に対して、事業所単位と個人単位の両方の抵触日を明示します(第34条)。
事業所単位の期間を延長するときは、意見聴取の期間内に過半数労働組合等の意見を聴き、異議が出た場合は延長の理由などを説明する義務があります(第40条の2第4項、第5項)。延長したら、速やかに新しい抵触日を派遣元に通知します(同条第7項)。
違反すると「労働契約申込みみなし制度」の対象に
期間制限に違反して派遣を受け入れた場合、第40条の6により、その時点で派遣先がその派遣社員に対して、派遣元での労働条件と同一の条件で労働契約を申し込んだものとみなされます。違反にあたることを知らず、知らなかったことに過失がなかった場合は除かれますが、申込みは1年間撤回できません。事業所単位、個人単位のどちらの違反も対象です。厚生労働大臣による是正の勧告と、従わない場合の企業名の公表の対象にもなります(第49条の2)。
派遣元の雇用安定措置と派遣先の責務
派遣元は、同一の組織単位に継続して3年間派遣される見込みの有期雇用派遣社員に対して、次のいずれかの措置を講じる義務があります(第30条)。1年以上3年未満の見込みの方には努力義務です。
- 派遣先への直接雇用の依頼
- 新たな派遣先の提供(合理的なものに限る)
- 派遣元での無期雇用
- その他雇用の安定を図るために必要な措置(有給の教育訓練、紹介予定派遣など)
厚生労働省の改正法の概要によると、1の依頼をしても直接雇用に結びつかなかった場合、派遣元は2から4のいずれかを追加で講じる義務があります。派遣先の側にも、同一の組織単位の同一業務に同じ派遣社員を1年以上受け入れていて、派遣元から直接雇用の依頼があり、派遣終了後に同じ業務で人を雇おうとする場合には、その派遣社員を雇い入れるよう努める義務があります。同じ事業所で1年以上受け入れている派遣社員には、正社員の募集情報を周知する義務もあります。
外国人派遣社員の場合に加わる点
期間制限や雇用安定措置の内容は国籍で変わりません。加わるのは在留資格の扱いです。派遣先が直接雇用に切り替える場合、技術・人文知識・国際業務や特定技能などの在留資格の方は、契約の相手方である機関が変わった日から14日以内に本人が出入国在留管理庁長官へ届け出る必要があります(入管法第19条の16)。新しい雇用主にはハローワークへの外国人雇用状況の届出が必要です。また、特定技能の方を派遣の形態で受け入れられるのは農業分野と漁業分野に限られます(特定技能の受入れ)。
当社は派遣元として、抵触日の管理、派遣社員への明示、雇用安定措置の実施を担っています。派遣先企業さまには、契約前の抵触日の通知と、延長する場合の意見聴取をお願いしています。3年を迎える派遣社員の直接雇用をご検討の際は、在留資格の確認から切り替えの手続まで一緒に進めますので、お電話(090 7841 8887)、メール(info@sinceroglobal.jp)、LINEでご相談ください。