制度・法令
外国人雇用管理指針が改正。2026年から段階的に変わる点と、企業が押さえる基本
外国人を雇う事業主には、労働施策総合推進法にもとづく「外国人雇用管理指針」があります。募集から退職まで、事業主が取るべき措置をまとめたもので、2026年5月29日に改正されました(厚生労働省告示第227号)。改正は3段階で適用され、すでに一部は始まっています。改正点と、あらためて押さえておきたい指針の基本を整理します。
指針の位置づけ
労働施策総合推進法第7条は、事業主に対し、雇用する外国人が能力を発揮できるよう雇用管理の改善に努めること、解雇など会社都合で離職する外国人が再就職を希望する場合はその援助に努めることを求めています。第8条にもとづき、この内容を具体的にしたものが指針です。指針は冒頭で、労働基準法や最低賃金法、社会保険の法令は国籍にかかわらず外国人労働者にも適用されることを確認しています。
2026年の改正、何がいつから変わるか
改正告示の附則では、適用日を3つに分けています。厚生労働省が審議会に示した改正案の概要をもとに、主な内容をまとめると次のとおりです。
2026年6月14日からは、事業主の責務と、不法就労をさせれば入管法の罰則が適用され得ることが明記されました。パートや有期雇用、派遣の外国人労働者に「同一労働同一賃金ガイドライン」が適用されることも書き込まれています。あわせて、外国人労働者とその家族への日本語学習の支援と、日本語能力に配慮した教育訓練に努めること、外国人雇用状況の届出をしないと罰則があり得ること、在留カードは本人の同意を得て読取アプリで券面と照合するのが適切であることが加わりました。
2026年10月1日からは、パートや有期雇用、派遣の外国人労働者を雇い入れたとき、通常の労働者との待遇の違いとその理由について説明を求められることを、文書の交付などで明示することになりました。
2027年4月1日からは、育成就労制度の開始にあわせた規定が適用されます。育成就労外国人の帰国旅費は監理支援機関(単独型の場合は事業主)が負担すること、送出機関に支払う費用が不当に高額にならないようにすることなどです。外国人雇用状況の届出事項からは、特定産業分野などの記載が削除されます。
届出と在留カードの確認については、外国人雇用状況の届出と新様式の在留カードの確認ポイントで詳しく解説しています。
採用から退職まで、指針が求めていること
改正点以外にも、指針には日々の雇用管理に直結する内容が並んでいます。義務として「すること」と書かれたものと、「努めること」とされたものがありますが、どちらもトラブルを防ぐうえで実務の目安になります。
- 募集では、仕事の内容、契約期間、就業場所、労働時間、賃金、社会保険の適用などを書面で示し、母国語や平易な日本語など本人が理解できる方法で伝えるよう努めます。海外に住む人を募集する場合は、渡航や帰国の費用の負担、住居の確保などの条件も事前に明確にするよう努めます。
- 国籍を理由に賃金や労働時間などの労働条件で差別してはいけません。賃金を説明するときは、税金や社会保険料、労使協定にもとづく控除も含めて、実際の手取りがわかるように説明するよう努めます。食費や居住費を賃金から控除する場合は、実費を考えて不当な額にしないこととされています。
- 旅券や在留カードを会社で保管してはいけません。
- 安全衛生教育は、母国語や視聴覚教材を使うなど、本人が内容を理解できる方法で行います。標識や掲示は図解などで伝わるよう努めます。
- 社会保険の加入手続きをきちんと行い、帰国する人には脱退一時金を請求できることを、将来の年金への影響とあわせて説明するよう努めます。
- 社内規程の多言語化や相談窓口の設置、日本語学習の支援、一時帰国の休暇への配慮などに努めます。
- 安易な解雇や雇止めをせず、会社都合で離職する人が再就職を希望する場合はその援助に努めます。
常時10人以上なら「雇用労務責任者」の選任を
指針の第六は、外国人労働者を常時10人以上雇用する事業主に対し、人事課長などを「雇用労務責任者」に選び、指針で定める事項を管理させることを求めています。工場や倉庫で外国人スタッフが増えてきた企業は、まず誰が責任者なのかを社内で決めておくことが出発点になります。厚生労働省は責任者向けの外国人労働者雇用労務責任者講習を実施しており、令和8年度の日程は決まり次第案内されることになっています。
届出を怠ると罰金の対象に
今回の改正で指針に明記された点として、外国人を雇い入れたときと離職したときのハローワークへの届出(労働施策総合推進法第28条)をしなかった場合や、虚偽の届出をした場合は、同法第50条により30万円以下の罰金の対象になります。指針自体は事業主の行動の目安ですが、その背後にある法律の義務には罰則があることを意識しておく必要があります。
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