在留資格
永住者の在留資格が取り消される新しいルール、2027年4月から
永住許可を受けた方にとって気になる法改正があります。令和6年に成立した改正入管法で、永住者の在留資格を取り消すことができる事由が新しく追加されました。対象は、税金や社会保険料を故意に払わない場合、入管法上の義務を守らない場合、特定の犯罪で拘禁刑を受けた場合です。出入国在留管理庁(入管庁)が公表した法律の概要、ガイドライン、Q&Aをもとに、何が変わり、何が変わらないのかをまとめます。
いつから始まるのか
入管庁の令和6年入管法等改正のページによると、この規定を含む改正法(令和6年法律第60号)は令和6年6月21日に公布され、一部の規定を除き令和9年(2027年)4月1日に施行されます。入管庁はこれに合わせて「永住者の在留資格の取消しに関するガイドライン」を令和8年10月に公表し、令和9年4月1日から運用を始めるとしています。
取消事由は3つ
ガイドライン本文によると、改正後の入管法第22条の4第1項に第8号と第9号が加わり、永住者については次の3つが取消事由になります。
| 取消事由 | 内容 |
| 入管法上の義務違反(第8号) | 在留カードの携帯・提示、有効期間の更新、紛失時の再交付申請など、入管法で定められた義務を正当な理由なく守らないこと |
| 故意に公租公課の支払をしないこと(第8号) | 支払義務を認識しながら、あえて税金や社会保険料を払わないこと |
| 特定の刑罰法令違反(第9号) | 窃盗、詐欺、恐喝、殺人、傷害、危険運転致死傷など、法律で限定された故意の罪で拘禁刑に処せられたこと(執行猶予を含む) |
「公租公課」には、所得税、住民税、固定資産税などの税金と、国民健康保険や健康保険の保険料、国民年金や厚生年金保険の保険料が含まれます。一方、富士山の登山道の使用料や交通違反の罰金・反則金は含まれないと明記されています。
「故意に」とはどういう意味か
ここが最も重要な点です。ガイドラインは、「故意に」支払をしないとは、支払義務があることを認識しているにもかかわらず、あえて支払をしない場合をいうと説明しています。未納があるという事実だけでは足りず、収入や財産の状況、滞納の回数、金額、期間、滞納に至った経緯、本人の言動などを総合的に見て、支払う意思がないことが明白と認められる場合に限られます。
該当すると想定される例は、繰り返しの催告や滞納処分を受けてもなお納付の意思を示さない場合、届出なく転居して所在不明になっている場合、分納の約束を繰り返し破る場合、脱税で有罪になった場合などです。反対に、次のような場合は該当しないと明記されています。
- 病気、災害、失業などのやむを得ない事情で支払えない場合(事業不振、感染症や災害による収入の変動、DV被害、ハラスメントによる離職なども例示)
- 催告に応じて支払う意思を示し、分納や猶予の措置を受けている場合
- 生活保護に準じた措置を受けている場合
- 給与から税金や保険料が控除されているのに、勤務先がそれを納めていない場合
入管庁のQ&Aでは、うっかり在留カードを携帯しなかった場合や更新申請を忘れた場合は、この制度が想定するケースではないとしています。刑罰法令違反についても、過失運転致死傷、道路交通法違反、罰金刑は対象外です。市役所に公租公課の相談に行っただけで通報されることも想定されていません。
該当してもすぐに取消しではない
取消事由に該当しても、直ちに在留資格を取り消して出国させる仕組みではありません。ガイドラインによると、引き続き日本に在留することが適当でないと認められる場合を除き、法務大臣が職権で永住者以外の在留資格に変更します。ほとんどの場合は「定住者」への変更が想定され、その後に永住許可の要件を再び満たせば、改めて永住許可を受けることもできます。取消しが相当とされるのは、今後も支払う意思がないことが明らかな場合、滞納額などが社会通念上看過しがたい場合、脱税で有罪となった場合などです。家族関係や人道上の配慮が必要な場合は、取消しではなく職権変更とすることもあり得ます。
注意したいのは、施行前の未納の扱いです。ガイドラインは、永住許可後から改正法の施行前までの間に故意に支払をしていなかったことが施行後に判明した場合も取消事由に該当するとしつつ、施行前の一時点の事情だけで直ちに取り消すのではなく、その後の支払状況なども含めて判断すると説明しています。
日ごろからできる備え
- 住民税、国民健康保険料、国民年金保険料は期限内に払い、領収書や口座振替の記録を残す
- 支払いが難しいときは放置せず、市区町村や年金事務所に相談して分納、猶予、免除の手続きをとる
- 引っ越したら速やかに住所の届出をし、督促の郵便が届く状態を保つ
- 在留カードの有効期間を確認して期限前に更新し、外出時は必ず携帯する
- 会社員の方は、給与から控除された税金や保険料が実際に納められているか、源泉徴収票や年金記録で確認する
永住許可の審査についても、入管庁は永住許可に関するガイドラインを令和8年10月1日に改定し、令和9年4月1日以降の申請に適用するとしています。これから申請する方は、改定後のガイドラインを確認しておくとよいでしょう。
個別の事情が取消しや職権変更の対象になるかどうかは、専門家にご相談ください。株式会社スィンセーログローバルでは、在留資格や日本での暮らしに関する疑問に複数の言語でお答えしています。お電話(090 7841 8887)、メール(info@sinceroglobal.jp)、LINEで承っています。